私が最初に聴いたSNH48の曲は「恋するフォーチュンクッキー」の中国語版で、その時のセンターは現在「青春有你2」出演で話題の许佳琪(Kiki)でした。また、その数年後にYouTubeで動画を目にしたのも「真夏のSounds good !」の中国語版で、この時のセンターは同じく「青春有你2」に出演の張語格(Tako)でした。
正直に言うと、この時期のSNH48にはそこまで興味が持てず、新作MVを少し見てはしばらく忘れることの繰り返しでした。ところが、数年後に機会があってSNH48のMVを見た時、記憶の中のSNH48とはあまりに音楽が変わっていて愕然としました。
「4000年にひとりの美少女 キクちゃん」として日本でも知られた鞠婧祎(ジュー・ジンイ―)は、韓国のDouble Kick作曲の「Yes or No」という美しいミディアムバラードを歌い、「Don't touch」という初めて聴く魅力的な曲をパフォーマンスしていました。
さらにSNH48には7SENSESというシンサドンホレンイがプロデュースするK-POPコンセプトのサブユニットがあることを知り、その楽曲のクオリティの高さにも驚きました。
また、SNH48グループには「9 to 9」のような優れたオリジナル曲も少なくはなく、音楽的なレベルは私が以前に知っていた頃とは比較にならない程アップしていました。
SNH48 콘서트) YES OR NO (等不到你) - 쥐징이 (鞠婧祎) Solo / 자막
Don't touch SNH48 鞠婧祎 曾艳芬 赵粤 (20170107 SNH48 金曲大赏TOP1)
こうした楽曲はすべて、SNH48がAKB48の姉妹グループから離脱した2016年以降に制作されています。特に2017年にはその動きが活発化しました。SNH48はかつてのAKB48楽曲の中国語翻訳を歌うグループから、中国、日本、そして西欧の作曲家が手がける、数百の完全オリジナル曲を歌うグループに変貌しました。
SNH48《绚丽时代》舞蹈版MV(西欧の作曲家が参加)
なぜ、SNH48はこのようなシフトチェンジをしたのでしょうか?
実際は著作権料を支払えば、AKB48楽曲の中国語翻訳曲を歌うことは現在も可能です。しかし、それをやめたのには現実的な理由があるようです。
中国・Weiboのネットユーザーは最近、SNH48が購入したAKB48楽曲の著作権価格を明らかにしました。これは@QingHebotというWeiboアカウントの投稿から始まりました。
彼らによれば、日本の歌の著作権は非常に高価であるため、ボス・ワン・ジジ(STAR48の社長)は、翻訳曲を購入し続けるよりも、年間で数百のオリジナル曲を制作することを好んだとしています。
彼らはWeiboに「正しく覚えていれば、『真夏のSounds good !(盛夏好声音)』の著作権料は18,000,000元です」と投稿しました。これは日本通貨に換算すると、約2億8千万円(現在の外国為替レート)になります。
SNH48の中国語版『真夏のSounds good !(盛夏好声音)』は2015年5月15日にリリースされ、24人の選抜メンバーが出演しました。
Weiboの投稿が事実であれば、外部から高く楽曲を取り付けるよりも、自社でオリジナル曲を制作するシステムを構築しようと考えるのは自然かもしれません。
結果としてSNH48はスウェーデンのソングキャンプのようなシステムを自社で持つようになり、上記でご紹介したような楽曲の多くはそこから生産されています。
初の日本語版もある7SENSESの最新曲「Who is your girl」は、実際にスウェーデンのソングキャンプで数年間活動した、日本人作曲家のYOKO HIRAMATSUが作曲に参加しています。
7SENSES - Who Is Your Girl