2021-02-27

IZ*ONE, MAMAMOO, GWSN…K-POPガールズグループも多用する「Just The Two of Us 進行」とは何か? 元祖はほんとうにGrover Washington Jr.? [付記]


最近、ポピュラーソングのコード進行の定番として「Just The Two of Us 進行」がよく取り上げられています。

マニアックな視点で音楽に再照明をあてる番組「関ジャム」では、川谷絵音が好む楽曲の多くに、このコード進行が使われていることでも話題になりました。


Grover Washington Jr. feat. Bill Withers - Just The Two of Us


ポップスの世界では、特にJ-POPで多用される「カノン進行」が有名です。これはバッハ以前のドイツの作曲家パッヘルベルの名曲「カノン」のコード進行に基づいた呼称です。

そして、Grover Washington Jr. feat. Bill Withersの「Just The Two of Us 進行」も、「カノン進行」に負けないぐらいに様々なタイプの楽曲で使用されています。

K-POPのガールズグループでもそれは例外ではありません。


Secretのメインボーカル、ソン・ジウンが2014年にリリースしたTwenty-F​​ive(きれいな25歳)は、「Just The Two of Us 進行」が最もわかりやすく用いられた例です。


IZ*ONEのFIESTAは、楽曲全体がこのコード進行に沿っています。


「関ジャム」で川谷絵音が選んだMAMAMOOの「Dingga」も然り。


GWSNはタイトル曲で特に多用していて、「Pinky Star」「RED SUN」「Puzzle Moon」は基本的に同じコード進行です。


さらに、海外で人気の日本のシティポップにもそれは見られます。


81年リリースの泰葉「フライデイ・チャイナタウン」、78年の柴田まゆみ「白いページの中に」では、サビで象徴的に使われています。 他にも安室奈美恵「Can you cerebrate?」、MISIA「包み込むように」、ドリカム「決戦は金曜日」、オリジナルラブ「接吻」、椎名林檎「丸の内サディスティック」など、J-POPだけに限っても枚挙に暇がありません。

しかし、「Just The Two of Us 進行」の元祖となると、やはりそれは洋楽になります。実は「Just The Two of Us」(81年)がこのコード進行の元祖ではありません。それ以前にも同じコードを使ったヒット曲がありました。


Bobby Caldwellの「What You Won't Do for Love」とCheryl Lynn「Got To Be Real」はいずれも1978年リリース作品。前者が9月で後者が8月です。2曲は「Just The Two of Us」の約3年前のリリースで、どちらが先とは判断できないほど、世に出たタイミングは接近しています。

ただそれでも、やはりこのコード進行は「Just The Two of Us 進行」と呼ぶのがふさわしいようです。これほどにコードの動きが明確で、メロディラインがツボをついた楽曲は他にないからです。

(藤井風、ピアノだけでこのノリを出せるとは何者でしょうか)


[付記1]
柴田まゆみ「白いページの中に」は1978年8月25日リリースのようです。Bobby Caldwell、Cheryl Lynnとほぼ同じ時期になります。

[付記2]
以下の曲も追加します。

Mariah Carey - Emotions

Bruno Mars - Runaway baby

LOONA/HaSeul - Let Me In

SNH48 (鞠婧祎 曾艳芬 赵粤) - Don't touch

[付記3:番外編]

THE BEATLES - You Know My Name (Look Up The Number)
(かなり変則的ですが冒頭のコード進行は近いものがあります)