2021-03-26

インドネシアの歌手Rainych(レイニッチ)、シティポップ特集のTikTokライブで、松原みき「真夜中のドア」、竹内まりや「Plastic Love」、菊池桃子「Blind Curve」を歌う


YouTube総再生数1億1千万回を超える、インドネシア人Youtuber・Rainych(レイニッチ)が、tiktokmusicjpでオンラインライブを行いました。

彼女の名を一躍、音楽ファンに知らしめたのは、米国の歌手Doja Catのヒット曲「Say So」の日本語カバーです。

どこかシティポップを思わせる曲とはいえ、米ビルボード・メインチャートを賑わせたこの曲を、日本語で歌うという発想がすばらしい上、ボーカルスタイルも楽曲にマッチしていて、ひとつの作品として突出した魅力をもっています。Doja Cat自身がRainychのカバーを絶賛したのも頷けます。

RainychはTikTokライブで、「Say So」にシティポップを感じたため、友人に頼んで日本語に翻訳してもらったと語っていました。


しかし本当に驚いたのは、彼女がTikTokライブでシティポップを取り上げるにあたって、松原みき「真夜中のドア - Stay With Me」、竹内まりや「Plastic Love」の2大代表曲に加えて、菊池桃子の「Blind Curve」を歌ったことです。


「Blind Curve」は菊池桃子の84年リリースのデビューアルバム「Ocean Side」収録曲で、有名なシングルの収録曲などと比べて"知る人ぞ知る"というタイプの曲です。この時代の楽曲を相当に聴き込んだ人でなければ知る由もなく、Rainychが本当に日本の楽曲を愛していることが伺えます。


「Blind Curve」についてRainychは「菊池桃子さんのBlind Curveは、間違いなくこれまでにリリースされた作品の中でも最もタイムレスな作品の一つです。この曲がリリースされた頃にご存知の方の多くは、今でもこの曲を聴いてその本質的な良さがわかることだと思います。この曲は、私だけでなく私の家族でさえもこのリズムに体が自然とノッてしまうほど本当に素晴らしい曲です。日本を代表するシティポップソングをカバーすることができて光栄ですし、私達と同じようにこの曲を愛してくれることを願っています。」と語っています。


さらに、この曲は「真夜中のドア - Stay With Me」を作曲した林哲司氏が手掛けていることも注目すべき点です。林哲司氏は菊池桃子のデビューから、ほとんどの楽曲をプロデュースしているため、シティポップを代表する作曲家としての彼のエッセンスが作品に反映されています。

菊池桃子を手掛けるにあたって林哲司氏は、いわゆる古典的なアイドルソングではなく、洋楽テイストのあるアーティスティックな楽曲にしたかったと語っていました。その辺りの事情をRainychが知っているかは定かではないものの、Doja Cat「Say So」にシティポップを感じた感性であれば、きっと「Blind Curve」の背後にも林哲司氏が生み出すシティポップを感じていたに違いありません。


ちなみに菊池桃子はロックバンドRAMU名義で、88年に「Thanks Giving」というアルバムをリリースしています。おそらくアイドルが本格的にシティポップに取り組んだ最初の試みかもしれません。林哲司氏は関わっていないものの、楽曲、そしてバンドサウンドはアイドルのものではなく、完全にアーティスト志向です。

Rainychの声は菊池桃子に通じるところがあるので、多分、RAMUの楽曲もよくマッチすると思います。80年代日本のシティポップが世界的に注目される今、リリースから33年を経たRAMUのアルバムが、ようやく真っ当な評価を受ける時が来たのかもしれません。