ITZY「Algorhythm」Music Video K-POPガールズグループの日本オリジナルシングルというと以前はガッカリすることが少なくありませんでした。けれどもEXIDの頃からでしょうか?韓国オリジナルに引けを取らない洗練された楽曲が多くなってきて、今ではむしろ楽しみのひとつになっています。ITZYの日本3rdシングルとなるこの曲も一聴して引き込まれ、もう何度もリピートしています。特にブリッジ(Bメロ)の展開が音楽的にも聴き応えがあり、続くJust the Two of Us進行のサビもわかっていてもやられてしまいます。ITZYの日本オリジナルはここまでハズレがありません。



2020-11-05

IZ*ONE 宮脇咲良、作曲におけるJ-POPとK-POPの違いを語る「韓国語の発音の方が日本語よりリズムを刻みやすい、日本語をつけた時に急に失速感が出てしまった」


フランスを本国とする女性ファッション雑誌『ELLE』の日本公式サイトに掲載された宮脇咲良へのインタビューがとても興味深いです。

このインタビューはIZ*ONEの日本1stアルバム『Twelve』が10月21日に発売されたことに伴い行われたもので、インタビュアの音楽評論家・田中宗一郎氏の切り口が、アイドルに対してではなく、宮脇咲良をひとりのアーティストとして扱っている結果、他では読めないユニークな内容の記事になっています。

宮脇咲良が初めてソングライティングに参加した楽曲「Yummy Summer」に関しての話を中心とした、とても音楽的な傾向の強いインタビューで、特に印象的なのは曲作りにおける韓国語と日本語の発音の違いについて語った部分。

宮脇咲良は「韓国語の発音の方が日本語よりリズムを刻みやすい」として、韓国版アルバム用に作った韓国語の「Yummy Summer」に日本語をつけた時に、急に失速感が出てしまったと明かしています。


さらに、「韓国語には破裂音だったり、『パッチム』(子音と母音の組み合わせの下に書く子音の事)と言う英語でしか発音できないような言葉、日本語にはない音がたくさんあり、そこが作詞した上でも、歌っている上でも、難しいところ」と、K-POPとJ-POPの本質的な違いについても語っています。

実際、K-POPがなぜこれほど英語圏で受けるのかと考えれば、宮脇咲良が言うように韓国語の発音が英語に近いという点が大きなポイントになっていると思います。それと、韓国のアイドルは基本的に洋楽志向です。

以下には10月21日に掲載されたインタビュー記事から、特に音楽制作について宮脇咲良が語った部分を抜粋してご紹介します。


―――宮脇さんはIZ*ONEへの参加以前、K-POPのどういったところに興味を持たれたのか、まず教えていただいてもいいですか?

自分が日本でアイドル活動をしているときに、グローバルで活躍されているBLACKPINKさんやRed Velvetさん、TWICEさんを見て、こういうアイドルもいるんだかっこいい!って思ったのがきっかけです。具体的に言うと、曲のクオリティや世界観、コンセプト作りなど、憧れるものがすごく多くて。特に、自分自身の強さや魅力を歌詞にのせて歌っているかっこいい姿に憧れましたし、そういうところに興味を持って見ていました。


―――宮脇さんがリリックを書いたり、ソングライティングに関わりたいと思ったのは、いつ頃、どういうきっかけがあったんでしょう?

今までは受け取ったものを歌うっていう感じだったのですが、メンバーが作詞作曲してるのをみて、自分も曲って作れるんだっていう、そこからでしたね。去年の10月くらいから作曲し始めたんですけど、その時に自分が認められているような気がしてすごく嬉しくて、というのもそれが、自分にしか出てこないメロディーだし、自分だけの言葉じゃないですか。そう思った時に、この曲は私だけが作れるって思えて、すごくやりがいだったり楽しさを感じたんです。そこから私が考えていることや思っていることを、もっとファンの人に知ってもらえたら素敵だなって思って、作詞作曲を本格的に勉強して作りました。


―――具体的には、どんな風にソングライティングの勉強をされたんですか?

まずはプロの方に曲構成の仕組みと、どうやって曲が作られているのか教えていただいて、一緒にトラックを作ったりメロディーを書いてみたりしていました。その段階を踏んだあとに、「次のアルバムに入る曲を●月までに締め切ります」って言われて、初めてIZ*ONEに向けて曲を書こうと思って書いたのが、「Yummy Summer」でした。


―――「Yummy」は「美味しい」を意味する子供言葉でもあるわけですけども、この単語を使って、夏の曲を作るというのは宮脇さんのアイデアだったんですか?

私はもともと、暗い雰囲気の曲とか、かっこいい曲が好きなので、当初はもっとビートのある、今までのIZ*ONEにはなかったような曲を作りたいなと思ってたんですけど、「いいギターの音ができたので聴いて」って言われた時にそれがすごく良くて! この音って夏曲っぽいなって感じて、まず「Summer」という単語が出てきて、それでメロディーを作っている時に、どういう言葉が反復したら面白いなって考えて「Yummy」という可愛い言葉を思いつきました。全てはそのギターの音から始まったって感じです。


―――「Yummy」という単語を三度繰り返すフック/コーラス――日本語でいうサビの部分が今のように上手くハマった時は興奮しました?

一緒に作曲してる方と、「これはいい歌かもしれない」って言いながら作ってるのがすごく楽しくて。早く皆さんに届けたいって気持ちでずっといました。


―――そもそもJ-POPに比べると、K-POPの曲ってメロディーを細かく刻んでいきますよね。実際、宮脇さんも「Yummy Summer」の中でも「波音」のあとの「今僕は呼ぶ声が」というラインではリズム的に細かく刻んだ言葉を配置しています。こうした部分は、K-POPや北米のポップスを参考にしたり、一緒に曲を作っているプロデューサーの方と話し合いながら、決め込んでいったんでしょうか?

そうですね、私は作曲の勉強を始めてから洋楽をほぼ初めて聴いた人で。作曲の勉強をするなら洋楽を聴かないとだめだって思って、そこからようやく聴き始めたんですね。本当に何も知らなくて、アリアナ・グランデさんやエド・シーランさんを聴いて、「これが世界の音楽か!」って知りました。もうそれからは、「こんなメロディーがどっから出てくるの!」って発見の連続で、曲ってこういう作りになってるんだって、初めて理解したんですね。


―――宮脇さんとしては、韓国語で歌う時、日本語で歌う時、それぞれどんな違いを感じますか?

今回の曲作りで気付いたのは、韓国語の発音の方が日本語よりリズムを刻みやすいこと。「Yummy Summer」ってもともと韓国版アルバム用に作った曲だったので、韓国語だったんですけど、それに日本語をつけた時に、急に失速感が出てしまい、「あれっ、こんな曲だったっけ?」みたいになっちゃったところがあって。「FIESTA」の日本語版歌詞も今回、書かせていただいたんですけど、リズムがなくならないようにするっていうのを一番気にしています。韓国語には破裂音だったり、「パッチム」(子音と母音の組み合わせの下に書く子音の事)って言って英語でしか発音できないような言葉、日本語にはない音がいっぱいあるので、そこがすごく作詞した上でも、あとは歌っている上でも、難しいところで。だから、みなさんもK-POPを聞いていると音がいっぱいあるように感じるんだと思います。


―――韓国語の習得という経験は、いろんな曲の仕組みや成り立ちを聞き分ける練習にも繋がったんじゃないですか? 曲のリズムの組み立てとか、ビートに対してメロディーのフローがどんな風に組み合わさってるのかとか、という部分で。

それは確かにあります。韓国語を習得してから耳が良くなって音楽の聴きかたが変わりました。今まで、音楽を聴くときに私は歌詞優先派だったんですよ。歌詞がいい曲が好きなことが多かったんですけど、最近はこのトラックの音が好きだからこの曲好きだなとか、聴こえなかった音が聴こえてきたのが、自分のなかで成長した部分かなって思いましたね。


―――世界のシンガーや作家との共演に対する期待、可能性はありますか。

コラボについては、実は、私たちも一度だけ、ジョナス・ブルーさんの「Rise」という曲をフィーチャリングをして英語で歌わせていただいたことがあって、それがすごく楽しくて。歌詞もすごく良くて、出来上がりも新しい自分達を見た感じがしてよかったんです。なので、そういった今までやったことのないような曲も挑戦したいですし、最近レトロな雰囲気の曲がトレンドなので、レトロで明るい、みんなで盛り上がれるような曲をIZ*ONEの解釈で洋楽っぽくしたら、新しいんじゃないかなと思います。IZ*ONEは結構優雅で上品なイメージがあるんですが、ちょっとフランクで砕けた表現のIZ*ONEとかも見せられたら、面白いんじゃないかなって。

Jonas Blue – Rise ft. IZ*ONE


―――次のピークポイントはまだ訪れてないって感じですか?

いえ、最近、自分が制作した曲がラジオで先行公開される時ですかね。これまでに何曲か曲を制作したので、私の携帯のなかにデータとしてそれらが保存されているんですが、それって私のなかではただのデータにすぎなかった。でも人に聴いてもらって、初めてそのデータが音楽になって。その瞬間、「すごい。これが音楽を作るってことなんだ!」って感動したんです。「Yummy Summer」は韓国版アルバムに収録される予定だったのですが、残念ながら入らなくなって。この曲はもう世間に出ないだろうなって諦めていた時に、日本版アルバムに収録するって決まったので、すごい嬉しかったし、最近のなかで一番胸がいっぱいになった出来事かなと思います。




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