(北朝鮮の文化を楽しむ日本人ファンクラブ先軍女子)
これは去る7月初めに、「歌唱(ボーカル)や楽器演奏にとびきりの才能を見せる女性を選抜しなさい」と、キム・ヨジョン氏の指示があったためです。
北朝鮮の内部消息筋は15日、韓国メディアに「中央党5と宣伝扇動部・文化芸術部共同で、モランボン楽団のセクション選抜審査から最終審査が1月末に終わった」とし「全国的に80人程度を選んで人数が多くなり、楽団の同じ特性と同じ組織指導体系を備えた4つの課を作った」と伝えました。
消息筋によると、北朝鮮はモランボン楽団員を大幅に増員し、4つの科を新設し、その下にそれぞれ2つの組を編成しました。1組は25〜28歳の現役歌手や楽器演奏者で編成された基本的な組。2組は大学を卒業したばかりの20代前半のセクションで構成され、予備組の性格を帯びており、団員たちにはすべて、いわゆる中尉階級が与えられたといいます。
新しい楽団員たちが入ってきたことにより、既存の人員のうち、器楽組の2〜3人、歌学習の半分が現役から退いたと伝えられました。ただし、彼らは楽団を退出させられたわけではないというのが情報筋の話です。
モランボン楽団は、キム委員長が8回党大会当時の文化芸術部門に下した課題に応じて役割を再検討し、今後の活動の方向を再確立したことが分かりました。
これに関連し消息筋は「モランボン楽団は、今後元帥と党部長級以上の幹部を対象として、月に2回の内部公演をする」とし「先月20日には、2階1100席の会場である平壌市の4・25文化会館で、1時間30分のサプライズ公演を行った」と伝えました。
当時の公演には、軍の総参謀部、総政治局、国防部の高位幹部と軍団長、軍団政治委員らが大挙参加したと伝えられました。
モランボン楽団の再編成では、平壌キム・ウォンギュン音楽大学を中心に、身長165cm以上の歌手(ボーカル)と楽器演奏者の選抜作業を進めているといいます。審査方式は、秘密主義、基礎精密検査などがモランボン楽団創設時と似ているとされています。
今回のモランボン楽団の組織改編は、「一生に一度のオーディション」と呼ばれています。モランボン楽団は2012年の創業後、1〜2人の新入団員の補充はあったものの、今回のように大規模にセクションを選んだことはありません。既存のセクションの年齢層が20代後半〜30代前半に入り、世代交代の必要性が生じたものと思われます。
モランボン楽団は、北朝鮮当局が全力を挙げて育成するチームトップ(one top)ガールズグループです。北朝鮮にガールズグループはモランボン楽団ただ一つです。ガールズグループ市場を独占したので、北朝鮮全域では知らない人はいないと言われます。
北朝鮮では、すべての芸術を当局が制御するため、友達とギターで遊ぶくらいならまだしも、個人が歌手になりアルバムを出して公演をすることは不可能です。芸能の民間会社、民間会場はありません。
また、モランボン楽団員を毎年定期的に入れ替えることはできないため、北朝鮮でガールズグループに対しロマンがあるアーティストであれば、今回のオーディションは「一生に一度だけのチャンス」と言っても過言ではありません。
モランボン楽団は、いわゆる7・27伝承節(停戦協定締結)70周年行事など、北朝鮮当局が主催する、ほぼすべての機会に登場し、海外メディアから「北朝鮮版ガールズグループ」というニックネームを得ました。
北朝鮮の既存の楽団とは全く異なる、華やかで洗練された衣装とヘアスタイル、激しい振り付けに、国内外で人気を独占した結果です。日本にもファンクラブができた上、中国では海賊版CD、DVDが出るほどでした。
また、北朝鮮の軍部隊公演に行けばキム委員長が来ても、モランボン楽団より興奮することはないと言われるほどで、地方巡回公演も同じような熱狂を呼ぶと言います。モランボン楽団の強みは、各地方の観客のためにカスタムの歌を準備するという点にあります。
短いホットパンツにカル群舞まで?北朝鮮の舞台公演が変化した理由
7月25日に韓国のチャンネルAで放送された「今、あなたに会いに行く」の第501話では、脱北者のキム・クムヒョク氏が韓国と同じように、北朝鮮にもガールズグループがいることを明らかにしました。
彼は「驚かないでください。少女時代と同じようにステージパフォーマンスがあります。ショートパンツを着た8〜9人のガールズグループがステージで演奏します」と話し、出演者たちを驚かせました。
また彼は、北朝鮮の舞台公演シーンの変化の背景にある理由について、「北朝鮮党は韓国文化に対する検閲を強化しています。昨年、約1万人の学生が告白しました。ですから、文化的制裁を強化する一方で、韓国と同じことが彼らにもできることを誇示することで、反抗を阻止しようとしています」と説明しました。
日本の北朝鮮ファンクラブ「先軍女子」とは【BBC News Japan】